診療科案内放射線治療
診療案内
放射線治療は、外科手術や化学療法(抗がん剤治療)とともに、がん治療の三本柱の一つとして重要な役割を担っています。
放射線治療は手術と同じ局所治療法ですが、腫瘍のある臓器の形態や機能を損なうことなく、治すことができるという特徴を持っています。
近年、放射線機器の開発と治療法の進歩により、クォリティ・オブ・ライフ(生活の質の尊重)などの面から放射線治療が見直され、放射線治療が選ばれる頻度が増えてきています。
病気の種類や状態などによって選択される治療法や治療の目的が決まってくるのですが、放射線治療はあらゆる種類の悪性腫瘍の治療に使用されるといっても過言ではありません。
腫瘍を確実に治すことを目的とした根治治療や、手術、化学療法との併用療法、痛みなどの不快な症状をとる対症療法として治療が行われます。
当該科の対象疾患
頭頸部がん(特に早期喉頭がん)
早期の喉頭がんや中咽頭・下咽頭がんに対する放射線治療は、手術と同等の効果があり声を出す機能を温存することができます。
上咽頭がんは、解剖学的に手術が難しく、放射線治療が第一に行われ、必要に応じて化学療法(抗がん剤治療)を併用します。
また、進行した頭頸部がんで、手術ができない場合にも放射線治療を行います。最近は、放射線治療と同時に化学療法を行うことで、治療成績が向上してきています。また、タバコは治療の効果が低下する可能性があるため、放射線治療中・治療後も禁煙を心がけましょう。
がんの種類や広がりによって異なりますが、治療期間は6〜8週程度です。
食道がん
基本的には手術が選択されますが、最近では放射線治療と化学療法を同時に行う治療法が注目されています。年齢や心疾患など他の病気で手術ができない場合にも放射線治療が行われます。また、食道の狭窄が強く、食事がとれない場合には、症状の改善を目的に放射線治療を行う場合もあります。
治療期間は5〜8週です。
肺がん
肺がんは大きく小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2つの種類に分けられます。
- 小細胞肺がん
がんの広がりが肺の中、あるいは肺周辺のリンパ節にとどまっている場合は、放射線治療と化学療法を組み合わせて治療します。同時に2つの治療を併用することもありますし、化学療法を先に行ってから放射線治療を行うこともあります。
放射線治療は、通常3〜5週間かけて行います。なかには1日に2回(午前と午後)治療する場合もあります。
また、肺の治療後に、脳への転移を予防する目的で、脳全体に2週間かけて放射線治療をすることもあります。これを予防的全脳照射と呼んでいます。
- 非小細胞肺がん
がんが肺周囲のリンパ節に拡がり手術ができない場合には放射線治療を行いますが、化学療法と組み合わせることもありますし、放射線治療のみで治療することもあります。
放射線治療の期間は通常6〜7週間です。
また、リンパ節に拡がっていない小さな肺がんには通常手術が行われますが、肺の機能が低下しているなどの理由で手術ができない場合は、放射線治療を行います。
乳がん
乳がんでは、病気の状態によって手術の後に放射線治療を行うことがあります。乳がんの手術には、病巣のみを摘出し乳房を温存する乳房温存療法と、乳房全体を摘出する乳房切除術があります。
乳房温存療法の場合は、手術した乳房に放射線治療を行い、乳房内の再発を予防します。また、乳房切除を行った場合でも、再発の可能性が高いと考えられるときは、予防的に手術をした場所と周囲のリンパ節に放射線治療を行います。いずれの場合も、抗がん剤やホルモン療法と組み合わせて行うことがあります。
治療期間は、乳房温存療法の場合は7〜8週、乳房切除後の場合は5〜6週です。
前立腺がん
がんが前立腺にとどまっている場合に行いますが、手術や小線源治療とは異なり前立腺周囲や精嚢へ拡がっている場合にも治療を行うことができます。病気の状態によっては、ホルモン療法と組み合わせて行うこともあります。治療の効果は手術と同等と考えられており、副作用としての尿失禁や性機能障害の割合は低いです。
治療期間は7〜8週間です。
近年、ホルモン療法に加え放射線療法を併用するケースが増加しています。多方向から前立腺に放射線を集中させ治療します。
その他のがん
- その他、子宮がんや悪性リンパ腫などの多くの悪性腫瘍に対しても放射線治療が用いられます。
- 放射線治療単独だけでなく、手術後に放射線治療を加える例も多くあります。また近年、化学療法と併用されることが多くなっています。
- 転移性骨腫瘍や転移性脳腫瘍に対しても治療が行われ、症状の改善が8割〜9割程度、 期待できます。
- ケロイド術後や甲状腺眼症、血管腫など良性疾患に対しても放射線治療が施行されます。
当該科の特徴
- 安心して放射線治療を受けることができる体制
当医療センターでは、山梨大学医学部放射線科の放射線治療を専門としている医師が担当しています。診療放射線技師・看護師は、放射線治療を専門とするスタッフが担当しています。また、医学物理士の資格を取得した者もいますので、安心して放射線治療が受けられます。
- 高精度の放射線治療を提供
1)体幹部定位放射線治療
定位放射線治療とはいわゆる「ピンポイント照射」です。小さいターゲットに対して、精密にその位置を合わせたうえで、多方向から1回高線量で治療をします。
非常に効果が高く、安全性が高い治療です。2)画像誘導放射線治療
医用画像を用いてターゲットの位置を精密にあわせて行う治療です。当科では前立腺癌の根治治療の際、前立腺に安全に根治線量を投与するために治療前に専用CTで前立腺位置を確認、ずれがあればあわせなおして治療を行います。
外来担当表
お知らせ
- 都合により休診となる場合があります。詳しくは受付でご確認ください。
診療体制
放射線治療は、医師を中心とした各専門のスタッフが協力し、患者さんが安心して治療に専念できるように心がけています。
放射線腫瘍医(治療医)
- 放射線治療を専門とする医師。治療の際に診察を行います。
- 診察、検査の結果から最適な治療を決定します。
- 病気や治療に関する疑問点がある場合には遠慮なく、ご質問してください。
医学物理士
- 放射線治療を専門とする線量分布等の管理、また、放射線治療機器の管理を行います。
放射線技師
- 放射線治療医の指示に従い、病気の部分に正確に放射線を照射します。
- 治療のためのマーキング(印付け)から治療まで、すべての技術的なことを担当しています。
看護師
- 診察から治療までの看護にあたります。
クラーク
- 治療関係の事務員。保険のことや診察日など事務的なことを担当しています。
放射線治療では、これらの職員が協力して仕事をしています。